World Wide Web Consortium / Keio University

W3Cの概要・国際標準仕様策定プロセス

長年にわたり、W3Cは進化するWeb技術やその活用に対応するため、漸進的に変化してきました。 会員主導のコンソーシアムとして、W3C会員が過半数を占める理事会(BoD)により策定される運営と戦略的方向性の元、ガバナンスを全面に打ち出し、明確な報告、継続的かつ高い透明性を持つグローバル協力を基本に活動しています。 W3C運営顧問としての運営諮問委員会(AB/Advisory Board)と技術諮問委員会(TAG/Technical Architecture Group)は、会員選挙で選出される委員が2年任期で中立の立場で活動します。W3C全体運営については、会員各組織代表(AC)が参加するW3C会員各組織代表総会を年2回開催し、このうち1回はW3C技術全般について議論するW3C年次技術者総会(TPAC)として開催されます。 国際標準仕様とその利用・運用などに係る指針策定の具体的議論は、W3C会員からの参加者、W3C所属の技術スタッフ(Staff Contact)と必要に応じて会員外から招聘される専門家(IE)により構成されるワーキンググループ(WG)で行われます。 活動領域・対象仕様書や意思決定方法などはWG設置趣意書により規定され、W3C会員投票(AC review)による承認を受けます。 WG以外には、特定技術領域における全般的議論を目的とするインタレストグループ(IG)、特定ビジネス領域のユースケース議論を行うビジネスグループ(BG)、広く一般からの参加を募り意見聴取しインキュベーションを行うコミュニティグループ(CG)も設置されます。W3C技術文書には勧告仕様、技術的なアイデア・背景を纏めるグループノート、勧告仕様に紐づくリスト項目のレジストリ、新たな技術仕様策定に向けた会員提案の分類があります。

仕様策定プロセス

勧告仕様の策定作業は、W3Cプロセスドキュメントに規定された各段階とそれに課されたレビュー要件を経ます。 レビューには各領域の専門家が所属する水平グループによる技術的レビューや、会員全体によるレビューが設定され、 また加えてリエゾン関係にある様々な標準化団体や、一般の開発者コミュニティーに対してもレビューを依頼し、会員からの意見同様に対応しています。

草案(WD)は公開草案初版(FPWD)から始まる正式な勧告仕様策定作業の開始点で、この段階の仕様の全てが勧告になるとは限りません。 勧告候補(CRS)になるまでに、草案には水平グループによる技術レビューが要求され、指摘点を全て解決する必要があります。 CRS/CRDの段階において仕様が要件を満たしているかの確認、広く一般に実装を呼びかけての実装と相互運用試験を行います。 各機能について最低2つ以上の実装が確認されるなど一定の条件を満たした後、W3C会員全体によるレビューを経て仕様書は勧告(REC)として公開されます。

水平レビュー(HR)

Web技術全体へ指針を出すTAGに加え、アクセシビリティ(a11y)、国際化(i18n)、セキュリティ、プライバシーの4領域について専門家により構成されるグループがHRを行います。 この活動はW3C内の仕様に限らず、関連分野で活動するWHATWGやIETFなどの標準化団体の仕様への参画も行っています。 また、これらのグループは各分野においてWeb仕様開発者向け開発ガイドラインや仕様書の自己レビューチェックリスト、また一般向けの解説も提供しています。 TAGは、Web技術全体に対する技術顧問の役割を担い、 Ethical Web Principles、Web Platform PrinciplesなどのWeb全般の原則を文書に纏めるとともに、レビューなどの議論からの関連情報をTAG Findingsとして公開しています。 a11yは、WCAGなどのアクセシビリティ基準を策定するグループと連携して活動しており、ビデオ通話などさまざまな技術領域特化のユーザ要求の取りまとめも行っています。 i18nは、ブラウザ上での文字や言語の取り扱いと表示に加え、全世界で地域により異なる表記が利用されるデータについてAPI仕様やデータ形式が正しく保持・処理できるかについても活動しています。 また、地域依存の数値表記のレジストリ、文字や文字列の扱いの原則をまとめた文書、さまざまな言語の組版仕様の取りまとめを行っています。 プライバシーは、fingerprintingをメインに、ブラウザ上でのユーザ情報の扱いにおいてサイトに提供されるユーザ情報を最小限に限定するよう各仕様が策定されるために活動しています。 また、次世代のブラウザにおける権限要求プロンプトなど将来への議論も進めています。 セキュリティは、仕様策定の上で脆弱となる処理・データの扱いが発生しないようにするためThreat Modelingの領域の取りまとめと各仕様・領域におけるモデル策定の助言などの活動を行っており、Thread Modeling GuideやAIなどを含めた新技術がWebに与える影響についての文書の取りまとめを行っています。